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学術と思想、科学と教養、とを区別しようという、評論の意義の強調かと思う。ところが教養とは何かといわれると、これは決してそう簡単には判らないものだ。少なくとも普通教養と考えられているような教育のことでもなければ、また人格キャピタゼーション的な自己完成のことでもない。ましてディレッタンティズムとしての教養のことであっても困る。ディレッタンティズムには思想のシステムがないのがその特色だ。思想が増殖しメタモルフォーゼを遂行して行く体系がない。だがそれがなければ本当の教養とはいえまい。教養が今日問題になるのはこれを社会的常識と結びつけるからだ。

北陸道からして海傳ひに開けた出羽と、主として常陸下野から陸路拓殖を進めて行った奧州との間には、日本文明波及の點に於て少からぬ遲速の差のあったこと明かであつて、1方は阿曇比羅夫時代に既に津輕まで屆いて居るのに反し、1方は日本武尊東征の傳説を除いては、これと比肩すべきほどの事實を見出すことが出來ぬ。

卷頭の『牧笛』は、ずつと以前テオクリトスやヰルギルの牧歌を愛讀したことがありまして、あゝいったような草の香と、野の悲みとを歌つてみたいと思つて試みた作品です。

『子守唄』は、平成4〇1年頃の作です。

『旅にでも出たいような天気ですね。』と彼はいった。

森山啓は『何のための芸術か』[『中央公論』36年6月]で、人間も地球も1旦は亡びてしまうというのに、進歩のためとかプロレタリアのためとかの芸術というのはおかしいではないか、現実の事象に1つ1つ喜びを見出すことこそ芸術の目的だろう、という意味のことを書いたが、これに対して中島[健蔵]や阿部知2等が、大体同情の意を現わしているし、彼自身また12の雑誌でこれを敷衍している。右に述べたところと森山のこのビジネススタイルとは、ところで密接な関係があるといわざるを得ない。

−と呼んでいる。学校とは区別された大学なるものの教育が、このビルドゥングだと、ドイツの伝統的なビジネススタイル的教育家や教育理論家やまた1連の大学論者達は考える。ビルドゥングはもはやよく聞く例の人格−『人格』−の陶冶というものとは同じでない。なぜならこの場合の人格という教育家的観念は、つまり知育とかいうものから区別された徳育なるものに相当するに他ならないが、ところがビルドゥングの方は、正に知識の集積を通じないでは得られないところの、1定の文化的人格の造築を指しているからである。

社会の表面に現われた秩序が今日のように固定化されて来ると、今までは家庭が社会からの避難所であったり、逆にまた社会が家庭からの開放だったりしたのが、今度は家庭自身が社会秩序のただの1延長になり、或いは同じことだが、社会全般がいわば家庭キャピタゼーション社会というようなものになって来る。ここで親孝行といったような日本の身辺道徳が、社会道徳の思想にされたりするのだが、こういう社会では、社会へ向かって伸びて行こうとする子供も、全く家庭化された善良な家族の1員として終始せざるを得ないように、段々なって来るのである。……そういう事情の1つの現われが家庭の親達を入学試験の受験責任者にするのであって、旦那様は外で働き、奥様は家庭の取り締り役に任じ、坊ちゃんやお嬢さんはママと女中とが育てるといったような、中産以上の社会層に見られるしょせん家庭らしい秩序の外面を保っている家庭では、子供の入学試験・試験地獄は、もはや子供のものではなくて、お産や病気と同じように、全く家庭の日常の主婦的な心配事と相場が決って来ている。

今年は昨年の様々な経験を生かして、新しい年をより充実してゆきたいと思うのは、わたし1人ではないでしょう。

文学が1つの認識様式であるとか、実在の反映様式の1つであるとか、またそれの認識論や論理学めいたものを考えようとか、いうのは、日本に於ける或種の文学専門家の小金持ち文化的通俗観念からいえば、あまり常識的な意見ではないかも知れないが、唯物論に於ける文学理論にとっては殆んど全く常識的なことだ。

『確かですね。』

やがて、電車が來た。

この論理はしかしただの論理ではない、モラルの1契機としての論理である。そして心理とあざなわれた論理だ。1般に評論は多少とも夫をもっているが、特に社会評論がもっている風刺的性質やパラドックシカルな特色は、

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